中国メーカーに工場を取られた某日本メーカーの話

20年ほど前の現役時代の話です。

 

ある日、あるメーカーさんと商社さんが来社され、いつものように本題に入る前の導入話というか世間話をしていた中で、そのメーカーさんが中国に建設した工場を中国側に取られてしまった話をされました。

細かな部分はうろ覚えなので省きますが、
その日本メーカーと中国側との間でもめ事が発生し、いつまで経っても解決しないので、日本メーカーが「契約書にこう書いてあるじゃないですか!」と言ったらしいのです。

すると中国側は、「契約など単なる契約でしかない!」と反論したのだそうです。

それを聞いて、根本がガラガラと崩れ落ちるような、真空に放り込まれたような不思議な気持ちになりました。えっ、どういうこと!?、と。

この中国側の言い方に対して「ではこう反論すれば中国側はどのように返答するだろうか」、と頭が回転し始めたのは暫く経ってからのことです。

 

このような驚くべき論理をビジネスの中で平然と言い放つ中国人に感心しました。頭が良いのかズルいだけなのか。
私には絶対出来ない芸当なので、「頭いいかも・・」と思ってしまいました。

結局、その日本メーカーは工場を中国側に取られ、中国市場から撤退したそうです。