大正時代の著名人が予想した100年後

大正9年に、当時のあらゆる分野の著名人250人に対しておこなわれた「100年後の日本はどうなるか」というアンケートの回答が、百年後の日本という本に載っているので、”二十世紀の予言” に続いて、いくつかを抜き書きしてみます。

 

・仲木貞一(新聞記者・劇作家)

われら子孫の日本人は、ますます根性がひねこびれて、ずるがしこくなり、小闘紛擾をこととして、諸外国にあなどられ、国威すこぶる振るわざるものとなります。この間に「支那」は真に大国として、ますます発展し、米国と提携して日本をいじめることとなるでしょう。台湾や朝鮮は、むろん日本の手を離れてしまいます。

 

・末広重雄(国際政治学者)

もし現在のごとく、わが軍閥が国論を無視して、侵略主義を行う時は、遠からず日米戦争を惹起し、その勝敗いかんによりて、日本の100年後の運命が定まることとなる。・・・日本に勝算ありや。残念ながら私は結果を危ぶむ。私が多年、侵略主義に反対しつつあるは一にこれが為である。

 

・大島正徳(哲学者・教育家)

1.いわゆる普通選挙はもちろんのこと、婦人の代議士などが出てくるであろう。

2.大学はもちろん、男女入学、ご勝手しだいということになろう。

3.義務教育は十年に延長され、かつ好みと能力に応じて、いかなる師弟も高等教育を受け得るようになるだろう。

4.都会では家族が下宿生活をするもの多く、西洋式の共同建築が多くなるだろう。

5.生活に直接必要のことは、国家直営になろう。

 

・矢口達(英文学者・翻訳家)

日本は強者に跪拝し、弱者を凌辱して悦んでいます。ヨーロッパの真似をして威張っています。さあ、100年の後?その間に崇め奉っているヨーロッパ・アメリカから袋叩きにあいます。そこで本当に目を覚ます。覚めなければ叩き殺されて滅亡するばかり。

 

・柴田勝衛(文芸評論家・新聞記者)

東京を中心にロンドン・パリ・ニューヨーク間に、それぞれ直通の電線電話が通ずるかもしれません。千鳥・アラスカ間の地下鉄道の竣工も予想されないではありません。新聞・雑誌の用語がすべて口語体に変わるでしょう。

 これらの進歩発達に比べて一番悲観されるのは、政治の発達です。

もちろん一般投票も実現されるでしょうし、女代議士も現れないとは限りませんが、こうした表面的な変わり方は別として、千年近くも古くから伝統的にケレンとゴマカシとで世の中を渡ってきた、いまの政治家ならびに、その後継者は、たとえ今後、百年ぐらいの歳月を費やしたところで、はたして私たちの希望どおり真に民衆のために「人間として裸」になってくれる人があるかどうか。日本の政治が「政策」と「ウソツキ」とを区別する時期は、いつのことやら判からなくなります。

 

感想が書けないです。(-_-;)