岩城宏之の本がとても面白かった

クラシックに関連した面白い本を書いている方で知っているのは、オーボエ奏者の茂木大輔さんだけでしたが、指揮者の岩城宏之さんの本を借りて読んでみた所、とても面白かったです。

今頃そんなこと言ってるの~?と言われそうですが。

 

茂木さんとは傾向が異なっているというか幅が広いというか、岩城さんの本にはうならせる部分がありますね。面白かったので図書館に予約を沢山入れました。^^

 

あるとき、カール・ベームがウィーンフィルで運命を振り、それはすさまじい熱狂のるつぼの演奏だったそうですが、聴衆の感動と興奮に応えて、アンコールに「美しく青きドナウ」を指揮し始めたところ、お客の大半が静かに席を立って帰って行った、という話には感心しました。

あちらは帰るんですね、興ざめなアンコールなんかやっちゃうと。

流石本場、なんですかね~。

 

面白い話ばかり載っていますが、あと1つ二つあげますと。

あの大作曲家ブルックナーは気が弱かったそうで、ウィーンで自作の交響曲を指揮することになり、練習に出かけて指揮台にあがり「どうぞよろしく」と最敬礼したまでは良かったが、その後いつまでもじっとしているので、コンサートマスターが「どうなさいました?」と尋ねたところ、ブルックナーは小さな声で「どうぞ、みなさまからお先に」と、手を差し出したという。

 

ベートーベンの運命と田園を続けて演奏することになっていたコンサートでのこと。

指揮者の尾高直忠が、とても勢いよく、エネルギーの塊のような歩調でステージに登場してきたので、オーケストラの誰かが隣の人に「オイ、1曲目は運命じゃないよな?」と尋ね、「もちろん田園さ」と答えたのだが、尾高氏は完全に勘違いしていて猛烈な勢いで棒を振り下ろし、オーケストラは呆気にとられ一瞬遅れたが田園を柔らかい音で演奏し始めた。尾高氏は頭の中をすぐに田園に切り替えたのだが、オーケストラは笑いをこらえながら演奏した、という話。

 

明治時代は今よりも政治家がずっっとまともだった具体的な話などもあり、読ませる本でした。