アンサンブルの基本について名指揮者たちは言う

 

最近は、過去の名指揮者達の書いた本を続けて借りて読んでいる。

 

ベルリオーズ、ワーグナー、R.シュトラウス、マーラー、クーセヴィツキ―、ブルーノ・ワルター、ストコフスキー、フルトヴェングラーなど。

 

ベルリオーズなどの数人は指揮棒をどう振るかの基礎的な部分から書いているが、ほとんどの人はクラシック以降の曲の解釈についての意見や、クライマックスに向かってどのように曲を運んで行けば効果的かなどについて書いているので、リコーダーアンサンブルにはほとんど役に立たない内容ではある。

 

しかしそんな中で、基本中の基本だなと以前に小アンサンブルを皆で仕上げたときに感じたことと同じことを書いている指揮者が数人いて、ウイーンフィルを振っているときの大指揮者でさえそのようなことを考えているのか、と少し驚きがあった。

 

それは何かというと、当たり前すぎて拍子抜けされると思うが、『合奏をキッチリ揃えた上で、歌わせる』、ということである。

 

ブルーノ・ワルターは、歌わせる以前に合奏がピタリと合っていなければそれ以降のことは無意味である、と書いている。

1.>作品の精神をはっきり示し、すみずみまで生気を吹き込んだ演奏は、どれも正確さを絶対必要な条件としている。ぴったり合っていること、整然と揃っていること、響きがはっきりしていること・・(中略)、こうした基礎の上に立って初めて生き生きとした演奏を繰り広げることができる。ぴったり合わずに演奏された場合、情熱的な曲をどんなに燃えるように表現しても、満足を与えることは出来ない。

2.>木管楽器やヴァイオリンがフレーズをどんなに生き生きと演奏しても、他の楽器が強弱の点でそれに従ったりぴったり合わせたりしなければ、効果を上げることはできない。

 

1つ目について、ピタリと合わせるのは具体的には音程であり縦の線であると思う。縦の線については、例えば曲の最後の音だけをとってみてもその音を全員がピタリと同時に止めたときの充実感というかこれがアンサンブルだ感は半端ではないし、逆に最後の音でさえそれをしないままに発表会で演奏しても感銘を与えることはできないと思う。

 

2つ目は、リコーダーアンサンブルの場合、広範囲な各パート間の音量バランスの問題ととらえて良いかも知れない。

各パートの音量バランスが非常に大事だと感じたときのことは、以前の小アンサンブルの思い出というブログに書いたような気がするが、これをきちんとすれば比較にならないくらいに演奏の完成度が上がる。逆に言えば、演奏を仕上げる段階で必ずチェックしなければならない項目だと思う。

ピアノ初学者が弾いたドミソの和音と、誰かがチェンバロで弾いたドミソの和音の充実度を思い浮かべれば想像がつく。