先日のブログ「リコーダーの材質で音は変わる?ーその2」を読んでくださった方から、もう少し詳しく書いて欲しいというコメントを頂きました。ありがとうございます。
写真を貼れた方が分かりやすいと思いますので、コメント欄ではなくこちらに書かせて頂きますね。
まず、異論は有るようですが、リコーダーはオーディオと同じでどこをいじっても音が変わります。いじる箇所やいじり方で変化の度合いは様々で、人によっては変化を感じない程度の変化から、誰が聞いても明らかに変わった!と感じる変化まであります。
私は好みの音にしたいがために木管とプラ管のリコーダーをついいじってしまい、これまでに20本くらいはダメにしています。
ちなみに、最近の会心作はモーレンハウエルのペアウッドのドリーム アルトリコーダーの改音?です。
このリコーダー(下の写真参照)の音は、ルネサンスタイプのようなためか素朴でストレートな感じが良いのですが、高音域がきつい音になるためアンサンブルで使用したことはありません。
これをもう少し穏やかな音に変えようと思い、過去に幾度となくいじってきたもののうまくいかなかったのですが、最近やっとうっとりとするような音になりました。
方法は、エッジに木工パテを塗り、爪楊枝を真ん中に挿しただけです。
どのような音になったかというと、NHKで放送されたレ・タンブルの演奏会で水内謙一さんが吹いていたテナーリコーダーのような・・、ルネサンス時代のクリスマス音楽を集めたレコードでマルティン・リンデが吹いているリコーダーのような・・、刺激の無い大人しく丸い音だけれどぼやけてはいなくて、適度な芯のある優しく甘い音です。
さて、本題のパテの塗り方ですが、エッジの平面上の、先端に近い部分に少し塗ります。
この画面の右側に写っているリコーダーはエッジの全面にパテが塗ってありますが、それは先端に近い部分から始めて徐々に範囲が広がったものです。
音を聞きながら、塗る場所や範囲・量(厚み)を変えて調整していきます。
塗ったり取ったりになります。
この作業は、私は割りばしの先を薄く削ったものや爪楊枝を使っています。
エッジの平面ではなく、エッジの先端部分(息が当たる部分)に少し塗ると、音が変わると同時に高音域が出やすくなったりします。
やってダメだと思ったときは、完全に乾くまでなら水を流しながらこすると簡単に綺麗に取れます。完全に乾くまでは3日必要とパテの説明文に書いて有りますが、やり直しは30分以内にした方がスムーズかと思います。
完全に乾いた後は、ヤスリでこすったりカッターで削って厚みを変えたりして調整できます。完全に乾くとプラスチックと一体化するため綺麗に取り除くのが難しくなりますので、見栄えが気になる方は完全に乾く前に処置された方が良いです。
リコーダーを壊してしまわないか心配な場合は、試しにセロテープをエッジに貼って音の変化を確認してみられると良いと思います。パテほど変化しませんが。
セロテープは半分くらいの幅に切り、その先っぽがエッジの先端から0.2~1ミリほど出るように貼ります。セロテープの幅が広いとピッチが下がります。
エッジからいくら出すか、セロテープの幅をもっと狭くするか広くするかで、音は微妙に変わりますので、何度かやってみて下さい。
セロテープなので何度やってもリコーダーに傷や汚れは付かないので大丈夫です。
セロテープでもたまに奇跡的に劇的に変わることがありますが、そこから少しでもいじるとまた音は変わってしまいますので、その音が良いと思った場合はもういじらない方が良いです。
*大学などでリコーダーのエッジ周りの気流の状態などを調べる研究が行われておりますので、ご参考にリンクを貼っておきます。
・音孔を有するリコーダー周りの流体音に関する直接計算(豊橋技術科学大学)
http://www.nagare.or.jp/download/noauth.html?d=33-2tokushu7.pdf&dir=105
・エアリード楽器の発音機構 : 流体と音の相互作用の解析(九州工業大学大学院)
http://eagle.ifs.tohoku.ac.jp/rims2009sound/takahashi.pdf
・リコーダーの流れ可視化・シミュレーション技術(ヤマハ研究開発部門)
https://research.yamaha.com/ja/technologies/recorder-simulation/
モーレンハウエル ドリームアルトリコーダー
コメントをお書きください
とんかつ59 (金曜日, 19 4月 2019 15:29)
早速のご教示ありがとうございます。
セロテープとピンセットで何度か、試して見ましたが、
同じ個体(ヤマハ・リコーダー)ですと、スコッチ・セロテープの
腰が弱すぎて、耳で判断は、判りませんでした。
手元に、アルトリコーダー2本あります。ヤマハ(YRA-48B)と
アウロス(509BE)です。この2本の素の比較では、
断然、アウロスが良い音を出してくれます。
一見、殆ど外形は同じですが、管の構造が違う様です。
同じプラ管なのに、全く音が違うことに、改めてビックリします。
アウロスは音が澄んでいますが、ヤマハは全域、風ノイズが混ざります。
奏者の骨格(上半身・頭蓋骨)や体格(口腔容積。咽喉容積、肺の入り口(気管支太い側)とソレに伴う息使いの状態によっても響きがつがってきますので、
この2本の比較では、私に合っているリコーダーは、アウロスになります。
アウロスでは、音孔を蓋する指腹に振動を感じます。
(ヤマハは、中部管でも、全く感じません。)
流石に7穴(足部管)では、更にジョイントがあるので、振動は
ほぼ判りませんが、本管が振動していると言う事は、
硬そうな、エッジ付近でもボディ側とパテが密着することで、振動に変化(おそらくは、抑制側に)が生じるでしょうから、
付随して結果的に音の変化が生じても、不思議はありませんね。
私の今日の実験では、まだ、判断は出来ませんでした。
豊橋技術科学大学、九州工業大学大学院で、この様な研究が
(おそらくメーカーからの要請でしょうが)されて居ることも、
今回、知りお知らせ頂き、ビックリしました。
手元のヤマハは音が悪いので(509BEとの私の比較では)、
パテを試すのは、ヤマハになりますが・・・
私はヤマハファンで(バイクもSaxも他の楽器も)パテを塗るのは
現時点では・・忍びない・・・
せっかく、お手数をおかけ致しましたが。
完全に使わない状態になったときに、試すことに致しましょう。
ありがとうございます。
管理人 (金曜日, 19 4月 2019 16:41)
セロテープでもほんの0.1ミリずらしただけで音が大きく変わる時があるのですが、ご興味がありましたらお時間が余っているときに角度を変えたりして色々と遊んでみてください。
アウロスは優秀な個体を買われたようで、良かったですね。
ヤマハは逆に残念でしたが。
私はリコーダーはほとんどヤマハばかりを買っていますが、またアウロスも試してみたくなりました。
とんかつ59さんとは逆に、私はヤマハの楽器はリコーダーだけです。^^;