リズムを崩した演奏は、お好き?

今日の「題名のない音楽会」に鈴木優人さんが出演されていました。

この方はバッハ・コレギウム・ジャパンの指揮者兼チェンバリストとして有名な方ですが、近頃はテレビでも良くお見かけするようになりました。

 

出演された番組の中では数曲を演奏されるのですが、この方とはどうも音楽の感性というか趣味が合わないように感じます。というか、まったく合いません。

(この方がお好きな方は、読むのをここでやめて下さいませー。)

 

以前NHKの番組で弾いていたオルガンによるバッハも、今日弾いていたチェンバロでのバッハも、どちらの演奏もリズムが崩れているんですよね。

 

それも、音楽的に意味のある崩しではなく、もしご自身に聞けば「感性に従って自由に演奏した結果ですよ」、と仰ると思うのですが、私には良く考えずに崩して弾いているだけ、としか思えませんでした。

よく考えていないために、曲の良さを殺してしまっています。

 

更に、リズムを崩すだけでなく、装飾音符を適当に入れたり変えたり、八分音符を三連符に変えて弾いたりで、ハッキリ言ってセンスを疑います。

 

他のバロックの作曲家と違って、バッハは装飾音符まで全部楽譜に書き込んだということくらい百も承知なのに、それでもそのように変えて演奏しているということは、オレの方がバッハより音楽的だと思っているのかもしれません。

 

でも、ほとんどバッハを知らない方がこの演奏を聴いて「バッハって、こんな曲なんだ」、と思ってしまったら罪は重いと思う。

モナリザの絵の前に歪んだレンズを置いて鑑賞させるようなものです。

 

この番組に時々出るバイオリニストのレーピンもリズムを崩して弾く人で、この人の崩し方も全然ダメ、というか嫌。

全然面白くないし感動を消し去ってしまっている。

番組ではこの崩した演奏を「巨匠的」と言っていたが、これはゴマなのか忖度なのかはたまた聴衆(視聴者)への目くらましなのか・・・。

 

普通に弾くだけで感動する曲なのに、あなたはなぜわざわざ感動しないように弾くの?と聞いてみたい。

「何を言っているのですか!私はこのように弾いたほうが感動するからこのように弾いているのですよ!」、と答えると思うが、本当にそうだろうか。

 心の中を覗いてみれば「ごめん。何となく適当に崩して弾いてました」と答えているような気がする。

 

同じような曲を毎日毎日弾かなければならないプロの演奏家の難しさは分かるような気もするけれど、プロであっても奇をてらう必要など無いはずで、人と同じような演奏でも良いし、昨日行った演奏と同じでも良いのだ。

純粋に、より感動する演奏を目指し続けてもらいたい、と思うものです。