驚くほどに感動が無かったコンサートを先日ブログに書きましたが、なぜそうなってしまうのかがずっと気になっていました。
アマオケの演奏は、大抵は音程も発音のタイミングもキッチリとは合っていないのに、あの演奏だけがなぜあんなにも無感動だったのかと・・・。
考えても良く分かりませんでしたが、おそらく、音楽を作り上げていく上での表現の方向性がバラバラだったからなのかな?、というのが今のところの結論です。
難しいな~、指揮者がいないアンサンブル。
と思ったら、リコーダーアンサンブルって、だいたい指揮者がいないですよね。^^
そこで思い出すのが、昨年まで約2年間ほど入っていたリコーダーアンサンブル教室のことです。
W大学のオープンカレッジの講座にリコーダーアンサンブル講座が有り、たまたまその発表会を見に行ったところ、講師のプロ奏者の方の指揮が非常に分かり易くて、面白そうだなと思って入りました。
入ってみると、半年ごとに行われる発表会の中で、全体合奏以外に小アンサンブルの発表が有り、それは、任意で3~5名くらいのアンサンブルを作って自分たちで決めた曲を自分たちで仕上げて演奏する、というものでした。
この教室に入ってすぐで何も分からない私に、一緒にやりませんかと親切に誘って下さった方々がいまして、よろしくお願いしますと入れて頂いたチームが吹こうとしていた曲が、マテゾンのトリオソナタop.1-3でした。アルト3本でのトリオです。
まず最初に曲を仕上げるにあたってどの程度まで仕上げるかの話になり、人の前で吹くのだから、聴いた後でお客さんが「最後まで無難に吹けましたね、ご苦労様。」と思う程度ではなく、どうせなら「良かったー、すごく感動したー」と思ってもらえるくらいに仕上げたいよね、ということになりました。
それからは地域の公民館の練習室を借りて、意欲的に自主練を重ねました。
曲を仕上げる方法としては、ある程度吹けるようになったら、吹いた直後に3人で録音を聴き、意見を出し合って改善点を抽出して改善し、また録音してそれを聴き、また改善して録音を聴き・・・、というふうにして詰めていきました。
自分の演奏の録音を聴くのは辛いことではありますが、指揮者がいないアンサンブルで曲を仕上げるためには絶対にすべきだと思います。
あと、2パートが掛け合いになっている箇所では、3人目の人は敢えて吹かずに聴き役に回り、ここはこう吹いた方が良いと思うなどと改善点等を伝え、それを繰り返して仕上げていきました。
また、3パートが一緒に吹いている箇所が綺麗に合っていると思っていたのに、試しに2パートだけで吹いてみたら、かなりバラバラだったので驚いたことがあります。
1stと2nd、2ndと3rd、1stと3rdと、どの組合せでも良いので一度試してみると良いです。
格段に合ってくるようになりますので。
それらを続けた結果、演奏はどんどん良くなっていきました。
この曲を仕上げるに当って、特に重点的に練習した部分を、覚えている所だけになりますが書いておきます。
この練習は、私にとってとても大切な思い出です。
1.全楽章共通
・各所に頻繁に出て来るトリルには速いトリルと遅いトリルの2種類が有るので、それぞ
れのトリルについて長さや速さの吹き方を決めて、3人が同時にトリルを吹いたときに
ズレずに、ピタリと合うようにする。
・全員がチューナーを見ながら練習する。
・音を終わらせる時、特に楽章の最後やリピート前の音の終わりは、全員が完全に同時に
終わるように意識して吹く。
・音の始まりや終わりはタイミングを合図する人を決めて、必ずその人を見る。
・何となく合っているはダメ。すべてを完全にピッタリと合わせる。
・カノン的な部分は、聴いている人にそうであることが良く伝わるように歌い方を合わ
せ、各パートの音量バランスも適切なものに調整して、音楽的につながるようにする。
2.第1楽章 Adagio
・最初に出て来るテーマの歌い方を印象的なものにして、曲の出だしから聴衆を引き込む。
3.第3楽章 Chaconne
・最初から20小節ほどの間は、3つのパートがユニゾンで吹くので、うなりが出ると
あ~ダメね~と思われるため、うなり無く吹けるようになるまで練習する。
今覚えているのはこんなところですね。
発表会の本番では、緊張のため50%くらいの出来でしたが、自主練の最後の日には、音程と発音タイミングが3人完璧に合っていて、トリルも3人が吹いているのに一人のように聴こえるまでになっており、情感も豊かで、吹いた後に録音を聴いたときは鳥肌が立つようでした。
この録音を消失してしまったことは本当に残念です。
youtubeに有るブリュッヘンの演奏よりも、遥かに・遥かに良かったですよ!(本当です)
この経験は、私の大切な宝物となっています。
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