岩城宏之の本 その2(アンサンブルの基本など)


 

沢山出しているので内容が結構重複している。

にも拘らず出版され続けているのは、人気が有るからだろう。

リコーダーのプロ奏者の先生方にもこのような本を書いて頂けると面白いだろうなと思う。

コンサートや練習のときの裏話や笑える話や為になる話やプロにしか経験し得ない話などなど。

 

岩城がウィーンフィルの第2バイオリンの首席奏者と「どうすればN響もウィーンフィルのようなオルガントーンを出せるようになるか」について話し合ったときのこと。

「音の太さが問題のひとつ。細い気がする。我々の音は倍音を沢山含んでいる」と言ったそうな。

 

思うに、おそらく・・・、N響は楽器を鳴らせ(鳴らし)ていない。

先日放送されたベルリンフィルの演奏では、弦も管も全員が体を大きく揺らし動かし、うねりながら演奏しており、出て来る音楽も極めてダイナミックであるのに対して、N響の録画をみると、全員が正座して演奏しているような感じで、端正、と言えば聞こえは良いけれど、なんともつまらない演奏になっていた。山と谷が浅くて平板なのである。あまりにもこじんまりしている。これはN響の伝統と思う。数十年前からこんなだから。

 

NHKは録音も乾いたつまらない音で録音することにこだわっており、他のオケの演奏レベルや民放の録音技術が目覚ましく向上した今、N響とNHKは演奏・録音ともにかなりの下位レベルになってしまったのではと思う。どうせなら感動的な演奏を聴かせて欲しいのだが、思い切り殻を突き破ることが必要だろう。自己満足に浸り切り、溺れてさえいるようなオケを大改革出来る超強力な常任指揮者が望まれる。

 

私が池袋のセミナーで先生に指摘されたことと似たことも出ている。

オケは演奏直前にオーボエの出すAの音を聴いて音合わせをするが、あるとき、コンサートマスターに文句をつけられたオーボエ奏者が「そんなら自分で聴いてみろ!」と言って、音叉をポーンと投げてよこしたという。ハーグのオケらしい。

しかし、「本当はピッチの問題ではなく、美しい魅力の有る音でAを出してやれば、弦の連中はガタガタ言わないもの」だそうだ。

 

私は池袋のアンサンブルセミナーで先生から音が合っていないと何度か言われたことが有り、いつかのときに「でも私はチューナーを見ながら吹いていますので合っているはずですが・・?」と言うと、「ピッチではなく、音が硬いので他の人の音と合わないのだ」と言われたのだが、これと同じことかなと思った。

 

先生「音を出してみなさい」

私「ピー」

先生「ほら、硬いでしょ」

私「?ふむ~?。そうですか^^;」

先生「こんな音を出して。ピー」

私「はい。ピー」

先生「まだ硬い」

私「・・・すみません。分からないです」

 

自分の音が硬いのかどうかが分からなかったので、後で他の受講生に尋ねてみたところ、硬いよと言った方半分、分からないと言った方が半分だった。

プラ管はみんな硬いと思うのだけど、私が吹いているアルトリコーダーはヤマハのプラ管YRA314で、先生が吹いているリコーダーもYRA314であるところが困ったところなのだ。

 

岩城がベルリンフィルの定期演奏会に出演していた頃、コンサートマスターがベルリンフィルの欠点を挙げたらしい。「このオーケストラには3つの大きな欠点が有る。第1はリズムが悪いこと。第2は音程が悪いこと。第3はお互いが聞き合わないこと。」

 

それを聞いて岩城は言っている。

「つまり、『基本を忠実に守る』ことに尽きるのである。それだけのことなのだ。」

「世界1とはこういうことなのか。感動した」と。