DACチップをデュアルで使用したDACが市販されているが、私はまだ購入したことがない。
DACチップをデュアルで使っているということは、アンプで言えばバイアンプやマルチアンプと同じことと思うので、チップ一つのDACとは次元の違う音がでるのではと想像される。
そこでひとつ買ってみようかと思いネットをざっと検索すると、現在市販されているデュアルDACに使われているDACチップは旭化成製とESS製のようであった。
しかし、ESS製は以前買った同社の9018の音が私の好みに全く合わなかったので選択肢から完全に外れるし、旭化成製は音を知らないので対象外であり、残るは躍動感の有る音が気に入っているバーブラウン製ということになるのだが、バーブラウン製のDACチップをデュアル使用したDACは売られていない。(ようだ)
そこで、バーブラウン製DACチップをシングルで使用しているDAC(の安価な中古品)を2台購入し、シングルとデュアルで音を聴き比べてみた。
デュアル化の方法は、CDプレーヤーの同軸デジタル出力端子に分岐アダプターを挿し、そこに同軸デジタルケーブルを2本挿して、2つのDACの同軸デジタル入力端子にそれぞれ繋いだ。
そして、1つのDACのRCA右出力をプリアンプの右入力に繋ぎ、もう1つのDACのRCA左出力をプリアンプの左入力に繋いだ。
左右の音量調節は、2つのDACのボリュームを回してモノラル音が左右の真ん中で鳴る位置で決めた。
音を比較するため、先ずはシングルで1週間聴き、その後デュアルに変えて聴いてみた。
デュアルの音が出た瞬間、ほーこうなるのか~、という感じ。
・今まで聴こえていなかった音がたくさん聴こえる。
スコアに書いてある音が全部聴こえるような感じ。分解能や定位が良くなったのだろう。
あれ?客がこんなに普通にしている咳がシングルとはいえなぜ聞こえなかったのだろう?と思うような個所もあった。奏者の音楽作り上の思惑が良く見えてくるが、例えば独奏バイオリンやピアノ奏者が犯したほんの僅かなコントロールミスもあからさまに聴こえてしまう。
・音が濃厚になったというか重さが加わったというか、うまく言えないがそんな感じになった。
・リアル感が増した。
これらの変化は、言葉で書くとほぼ予想通りとも言えるのだが、音は聴いてみなければ実感として分からない。 ひとことで言うと音も演奏も全体的に濃密になった感じ。
しかし、聴いているうちにしっくり来なくなってきたことに気が付いた。
なぜか感動しないのである。
響きの多彩さが無くなった?
ピアノ協奏曲でオーケストラだけの演奏が続いた後にふっと静まってピアノが弾き始める所。シングルではオケからピアノへ全く異なる音質への交代が非常に感動的というか聴かせどころになっているのだが、デュアルにするとその聴かせどころ感が強調される方向ではなく、なぜかそれをほとんど感じないのだ。
どうしてだろうと思い、色んな曲を聴いてみた。
どの曲でも詳細で且つ濃厚になるのだが、曲によってはシングルは線が細い分、繊細な部分がより出易いのか?と思ったり・・・。
シングルの方が明らかに音数が少ないので、音楽が分かり易い。
しかし、もしかすると、これは私がまだデュアルの音に慣れていないだけであり、慣れたときにはその濃密な音世界での感動が待っているのかも知れない、とは思う。
しばらくデュアルで聴き続けてみようと思う。
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