山田和樹さんの指揮

NHK BSで山田和樹さん指揮のドビュッシーと火の鳥が放送されました。

今や飛ぶ鳥を落とす勢いの山田和樹さんですので、どんな演奏をしてくれるのか非常に期待していたのですが、かなり残念なものでした。

日本人的単純さの見本のような、そんな演奏でした。

 

1年ほど前だったかに、「題名の無い音楽会」でベルリオーズの幻想の第1楽章をやっていたのを聴いて、おー良いじゃんと思ったのですが、先日のNHKを聴いて、彼の音楽の作り方が分かったように思います。

 

ある部分からある部分に移るときにメリハリを付けるため、音楽が分かり易いのでオッと思うのですが、そのある部分の夫々の中に物語が無いのです。

だからつまらなかった。

 

番組の中のインタビューで、「私の指揮は、楽団がやりたいと思っていることは尊重して、それに私のやりたいことを入れていく、というやり方です」というようなことを仰っていました。

要は、オーケストラが出した音楽を聴いてそれを修正していくやり方です。

 

自分の頭のなかで鳴っている(鳴らせている)音楽を、実際の音として出すべくオーケストラをコントロールしていくやり方では無いのですね。

 

指揮には上記の2つのタイプがあるそうですが、私は、指揮者には、それぞれの指揮者が持っている特有の音楽を、その音楽性を聴かせて欲しいと思っています。

 

オーケストラと調整して無難な音楽を演奏してくれても感動しないと思うんです。

語弊があるといけませんが、お役所的な演奏など聴きたくもないですし。

この日のN響の演奏はこれでしたね。デュトワ以前のN響に戻っていました。

 

この方法でもたまたま良い演奏になることは有るとは思いますが、山田さんはまだまだお若いので、これからご自分の音楽性を確立していかれることを希望します。